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とあるサービスが終了し、そのサービスを行っていた会社もなくなってしばらくたつので、もう良いかな?…と思い、以前私が設計したシステムについて色々と書いてみます。

スタートは2002年にさかのぼります。
ある日、ルータを製造している某メーカの専務(当時、今は社長)より電話があり、『アンチウィルス機能を持ったルータの提案を頼まれたのだが、ちょっとお知恵拝借…』という内容でした。

それから一週間、『2万円程度で売られているブロードバンドルータを使い、メールのアンチウィルス機能を実現しスループットは最低でも10Mbps程度は欲しい』という難題に取り組みました。当時 NTTブランドでトレンドマイクロのエンジンを組み込んだブロードバンドルータは存在していましが、スループットが数メガという ADSL ではともかく光回線では使い物になりませんでした。

最終的な提案として下記の内容にまとめました。

1.実売2~3万円程度のブロードバンドルータをベースに開発
2.アンチウィルスのスループットは最低10Mbps、できれば20~30Mbpsを目指す
3.メールサーバ・フリー(どこのメールサーバでも対応)
4.開発費は2,000万円以下に納める
5.月額使用料で赤字にならない運営費に押さえる
6.スケーラブル(ある程度まではシステム変更無しで利用増に耐えられる)であること

開発費に関しては工数というより5年償却で1日1万円程度という前提で計算し、その金額でどこまで開発が行えるかという通常とは逆の計算を行いました。想定していたシステムはルータ単体ではなくクラサバモデルで考えたので、ルータの開発で1千万、サーバ側の開発で1千万という見積もりで、ネゴ幅は2割と想定しました。

全体の基本設計とプロジェクトマネージャーは私が担当し、サーバ側の設計(外注)とルータ側(メーカー)の設計はそれぞれチーフを立ててもらいました。

→オファーがあってから構想を練り予算をはじくのに一週間
→外注先を見つけて引き受けてくれるかどうか打診し当たりをつけるのに一週間
→同時にルータの開発陣と折衝し実現性及び予算の妥当性を詰め、3週間でシステム提案書と見積もりを作成
→社内稟議を通し(これがなんと一週間もかかる)
◎お話をもらってから 1ヶ月半後になんとかお客様にプレゼンを行うことが出来ました。

その後数回の打ち合わせ&開発費のネゴシエーションがあり、月末までに概要レベルで合意することができ、予算も想定内(ネゴ幅2割)で決着しました。

システム開発は3ヶ月、実地試験2ヶ月…という超ハードスケジュールで完成、その後ほとんど改修(バグ修正)もなく実質5年ほどシステムは稼働し、最終的に約1万台のルータが出荷されました(個人+企業)。

これから数回に分けて、このシステムの説明及び設計について書いてみます。